昔と比べて近年の新築戸建て住宅はかなり断熱性能が上がり、エアコンを消しても数時間温度変化がおこらないまでになりました。
最近は性能向上リフォームや断熱リフォームを国土交通省が奨励して補助金等も出るのでやりたい方も多いのではないでしょうか。
しかし、断熱材は壁内や床天井裏などの隠蔽部に施されているので、戸建をフルスケルトン状態にしない限り新築同様の完璧な全面断熱工事は難しいと思います。
ですが、リフォーム技術の向上により、非破壊で断熱工事ができる工法がいくつも出てきていますので、お勧めの部分断熱工事をランキング形式で発表します。
1位 窓断熱工事
サッシ工事は、『内窓サッシ工事』の『樹脂サッシ・Low-e複層ガラス』の組み合わせがオススメ
まず、リフォームして一番暖かくなったと感じるのが間取りフォームです。建物の中から一番熱が逃げやすいのが窓で、建物全体の夏場で60%~70%、冬場で40%~50%熱が逃げるというデーターがあります。
よって、窓を断熱工事すれば建物の半分を断熱できるという事になります。
リフォームのやりやすさもメリットの一つです。窓をリフォームする場合3つのパターンがあり
- サッシ交換(窓そのものを交換)
- カバー工法(既存の窓枠の中に新しいサッシをはめ込む工法)
- 内窓サッシ取付(現在のサッシの内側にもう一枚サッシを取り付ける工法)
の3パターンがあるのでそれぞれ解説します。
①サッシ交換工事
新築と同様サッシを新しいサッシに交換します。戸建の外壁からやり直すスケルトンリフォームやフルリノベーション工事であれば可能ですが、サッシ部分のみしたい場合は外壁、内壁共にサッシより一回り大きく解体してサッシを取り外す必要があり、その部分の復旧工事が大掛かりになり、防水も切れてしまい復旧しても雨漏れの原因となりやすいのでお勧めしません。。あくまで建物を骨組みだけにするリフォームだけに適用可能です。
もちろん、マンションの場合はサッシ部分は共有部に辺り、構造部分を壊さなければできない工事なので全てのマンション例外なく不可となる工事となります。
②カバー工法
サッシのみの交換の場合は、既存のサッシ枠をそのまま残しその上から新しい枠を取り付けるカバー工法が主流となっています。全てのサッシの寸法がオーダーとなる為、1ヶ所15万~25万と高いのですが取付後は本当に新品のサッシを交換した様な仕上がりとなります。
玄関ドアもカバー工法の商品が出ており工事も1日で終わりますので玄関廻りが寒いなどのお悩みがある方は併せて交換をお勧めします。
マンションもカバー工法が認知され始め、外観のデザインが同じサッシであればカバー工法のサッシ交換を認めてくれる管理組合が増えてきました。
マンションのサッシが古すぎて交換したい場合などはお勧めです。逆に防音及び断熱が目的であれば次の内窓サッシをお勧めしています。
③内窓サッシ取付
内窓サッシとは、今ついているサッシの内側の窓枠部分にもう一枚サッシを追加して取り付ける工法です。なぜそれで断熱が取れるかというと、断熱材の正体は空気だからです。壁天井に入っているグラスウールも空気をガラス繊維に閉じ込めることで断熱性能を得ていますし、発泡スチロール系の断熱材も発泡スチロールの中に細かい空気がたくさん封じ込められていて、その空気で断熱性能が生まれています。
追加要素として、防音性能も生まれます。断熱と防音がセットで付いてくるので嬉しいですよね。
一か所に窓が2つあるなんて煩わしいかと思われますが、カギを掛ける必要もないので慣れてくればそれも感じなくなるようです。
こちらは1ヶ所8万~15万位で取付できます。
サッシのガラスや枠の種類はどれが良いか?
サッシのガラスや枠の部分もいくつか種類があるのですが、間違いないのが『樹脂サッシ・Low-e複層ガラス』の組み合わせです。
樹脂サッシはアルミサッシと違い枠が樹脂でできているので結露防止にもなり、断熱性能も高いです。
複層ガラスはガラスが2重になっており、ガラス間の空気層で断熱性能を向上させます。※防音性能はシングルの5㎜ガラスの方が高いです。
Low‐eガラスは赤外線を反射させる効果を持つため、冷房効率を向上させる効果があります。
このサッシの仕様は上記の通常のサッシ・カバー工法・内窓サッシの全てに同じ仕様があります。
せっかく交換するのであれば、差額も普通サッシと比べてそれほど大きくないので『樹脂サッシ・Low-e複層ガラス』にしては如何でしょうか。
2位 床断熱工事
床下断熱工事は『床下からの発泡ウレタン吹き付け工事(防蟻材入り)』がオススメ
2位は床断熱工事です。古い住宅の床下を潜ってみると、グラスウールなどの繊維系断熱材やボード状断熱材が剥がれ落ちてきてしまい断熱性のが発揮できず床がとても冷たくなってしまう住宅が多いです。カーペットやスリッパを履いて冬を過ごす方も多いのですが高齢の方にはヒートショックなどの寒暖差による血圧上昇などの原因にもなります。
お勧めの工事は床下からもぐって床の下地に発泡ウレタン材を吹き付ける工事です。シロアリに弱いので防蟻材入りの商品が良いでしょう。
一日で工事ができ、地震などにより滑り落ちる可能性もほかの断熱材と比べて低く劣化もしにくい工法です。
床下断熱工事
3位 天井断熱工事
天井断熱工事は『現況の天井上グラスウール等断熱材の上に袋から取り出したグラスウール敷き詰めと気流止めの為に壁と天井の隙間に断熱材を埋め込む』工法がオススメ
2階や3階の最上階の寝室で夏に暑くて寝ずらい方は天井断熱を検討された方が良いかもしれません。
屋根断熱工法というのもあるのですが、屋根と断熱材の間に通気層を作らなければならずかなり困難な工事となるのでお勧めしません。
天井断熱でお勧めの工法は今敷いてあるグラスウール系の繊維系断熱材の上にもう一枚繊維系断熱材を敷き詰めて、気流止めという壁と天井の隙間を断熱材で埋めてしまう方法です。
この時に注意しなければならないのは、現在敷いてある断熱材の部屋側には防湿層という湿気を塞ぐ面がしいてあり、小屋裏側には透湿層という湿気を逃がす面になっていて、そこから断熱材内部の湿気を逃がし、天井と断熱材の間には結露が発生しない仕組みになっています。よって、グラスウールを2重に敷き詰めるときにはグラスウールを全て袋から出して敷き詰めると、ちゃんと湿気を逃がす形に機能しますので、その点が注意が必要です。
天井断熱工事
4位 壁断熱工事・気密断熱工事
壁断熱工事はスケルトンリフォームをする必要があり、壁断熱工事のみではオススメしません。
新築同様の気密断熱工事に関しては、完璧にやるにはスケルトンリフォームをする他ありません。スケルトンリフォームは1,500万~2,000万円近く掛かるケースもあり、新築を建て替えた方が同じ金額でも構造がしっかりした良い建物ができるケースが多いです。実際にスケルトンリフォームリフォームするケースは、新築にした場合に建築面積が小さくなってしまう場合や、敷地の接道が2以下で再建築不可の場合がほとんどです。断熱だけの為で考えるのであれば、費用対効果が悪いのでお勧めしません。
如何でしたでしょうか。部分リフォームでも補助金申請すれば補助金が出るケースもありますので、上記工事と併せて補助金申請もさせて頂きます。